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判決後、「無念!」などと書かれた紙を掲げる原告ら=2025年2月26日、福岡市中央区六本松4丁目、上月英興撮影

 電気料金内の託送料金(送電線使用料)に東京電力福島第一原発事故の賠償費用などの一部を省令で上乗せするようにしたのは違法として、新電力事業者「グリーンコープでんき」(福岡市)が国を訴えた訴訟で、福岡高裁(久留島群一裁判長)は26日、請求を棄却した一審・福岡地裁判決を支持し、原告の控訴を棄却した。

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 託送料金はすべての小売り電気事業者が送配電事業者に支払う。電力小売りが全面自由化された後も、国が定める規則に基づき算定される。

 訴訟で原告側は、託送料金の基準を「適正な原価」と定めた電気事業法を踏まえ、原発事故の賠償費用は送配電ではなく、原発事業者の費用だとして「託送料金に含めたのは電気事業法の規定に反する」などと主張した。

 だが、判決は同法の改正経緯などを踏まえ「電気の全需要家が公平に負担すべき公益的な課題に要する費用」を託送料金で回収することは、経済産業相への委任の範囲内だと解釈。賠償費用を「専門技術的・政策的な領域に属する」などとして公益的課題の費用に当たると認め、託送料金への上乗せを認めた省令は適法とした。

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